一般化されたフックの法則
- 構成則は弾性だけでなく,粘性や塑性なども含めた,物体に作用する力と変形の関係を示すものです.ここでは,完全弾性体のみ考えます.
- ここでの完全弾性体とは,外力が取り除かれたときに元の形状に戻る物体を指します.
- 疑問:完全とつくのは,何らかの理想状態を仮定している?
- 完全弾性体での構成則は一般化されたフックの法則となります.
- 式は次の通りです
- ここで, $\sigma_{ij}$ は応力テンソル, $C_{ijkl}$ は弾性定数テンソル, $\varepsilon_{kl}$ はひずみテンソルとなります.
- 3次元での挙動を考えれば, $i,j,k,l$ はそれぞれ $x,y,z$ の3つの方向を取りうるため,$C_{ijkl}$ は $3^4=81$ 個の要素を持ちます.
- しかし次のような理由から,独立な弾性定数な弾性定数は5個となる
- 応力テンソル,ひずみテンソルともに対称テンソルであるため,弾性定数テンソルも対称テンソルとなる
- ひずみエネルギー関数が存在する
- 軸対称性
- これらを仮定するとLameの定数$\lambda$と$\mu$を用いて,式(1)は次のように表されます. \(\sigma_{ij} = \lambda \varepsilon_{kk} \delta_{ij} + 2 \mu \varepsilon_{ij}\)
- ここで体積ひずみ$\varepsilon_{v}$,平均応力$\sigma_{m}$を以下のように定義します.
- 体積ひずみ
- 平均応力
- このとき,偏差ひずみ$\varepsilon_{d}$, 偏差応力は$\sigma_{d}$は次のように定義されます.
- 偏差ひずみ
- 偏差応力
- このように定義することで,式(1)は次のように表されます.
\(C_{ijkl} = \lambda \delta_{ij} \delta_{kl} + \mu (\delta_{ik} \delta_{jl} + \delta_{il} \delta_{jk})\)
- ここで$\lambda$は体積弾性率,$\mu$はせん断弾性率,$\delta_{ij}$はクロネッカーのデルタです.
水平成層構造を伝播する弾性波の理論
- ここでは1次元の水平成層構造を考えます.ある層$i$の厚さを$Hi$,密度を$\rho_i$,せん断波速度を$v^s_{i}$,P波速度を$v^p_{i}$とします.
参考図書
纐纈一起, 地震動の物理学, 近代科学社, 2018